きのこうどん
ボクらが迷子になった日から翌年の11月。

ちこは死んだ。

元々、入退院を繰り返していたんだと、全てが終わってから彼女の母親である瑠璃さんに打ち明けられたのが印象的だった。

ちことまた遊びたいと思っていたボクはがっかりした。

しかしそれ以上に、がっくりと肩を落とす瑠璃さんを見て子どもながらに励ましてあげないとなんて思った。


「アキちゃんは長生きしてね?」


そう言った瑠璃さんの言葉は今も心に残っている。

母さんに手を引かれ葬儀場から外に出ると、外はもうクリスマスムードだった。

道路の向かい側の家ですら窓ガラスに陽気な飾りつけをしている。

そんな美しく輝く色々が全て灰色に見えたのはボクが幼なかったからだろうか。

そう、ぼんやりと光を眺めていると、ボクの頬に冷たい感触があった。


「アキ。寒いんだから早く車の中に入りなさい。」


ボク達を迎えに来た父さんが言った。


ボクににっこりと笑いかける父さん。


こんなときに笑っているだなんて父は頭がおかしいんだと感じた。


車に乗り込むとフロントガラスに小さな粒が載っていた。


「お?雪だな。道理で寒いはずだ。」


そう言うと父さんは何も言わずに車を走らせた。


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