テディベアの彼女
賑やかな朝。

なぜ朝からこんなに騒がしいかと言うと、
夏休みの
さらにお盆休み初日に
家族旅行に行こうとしているから、である。


「ごめんね、良。待たせちゃって。」


「ううん。いいよ。」


気にしないで、と笑う。

と同時に
私の背中側にあるドアが開いて、お父さんが玄関に入ってきた。

そして、荷物がもうないのを確認すると
私たち2人をじっくりみて、小さく
よし、と頷いた。

…きた。

ちらり、とお母さんを見ると
口元が少し緩んでた。

お父さんは、家族で遠出する時必ずと言っていいほど
この言葉を言う。

最近は遠出できていなかったから
久しぶりのこれからのやりとり。

実はお母さんと打ち合わせしていたり。


「2人とも準備できたみたいだな。


じゃあ行くか!」


にかっ、と笑うお父さんに
拳をつき上げながら、「おーっ」と返す。

そんな私たちの横で、
いつもは優しい目で笑うだけのお母さんも一緒に
「おーっ」と小さくだが拳を上にあげていた。

お父さんが少し嬉しそうな顔をしたから

私とお母さんは目を合わせて笑ってしまった。



なんでもない日常。
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