テディベアの彼女
ばんっ!

閉じられていた襖が勢いよく開く。

その音で覚醒した。

――いまのは、やっぱり夢だったの…?


「りょうちゃん…」


呼ばれた方をみると、崩れ落ちるようにして有人さんが近づいてきた。


「いま、なんて…」


縋るような目をしてる。

有人さんの顔は、絶望したような酷い顔だった。


「え?」

それでも私にはそんな顔をしている意味も、その言葉の意味もわからなかった。


「私、何かいいました?」


今の今まで寝ていたはずだ。

何か言ったとしたら、寝言。

…幽霊でも寝言言うのか。

いや、私のことだけど。


「……"死にたくない。"」

「え?」

「"もっと生きたかった―。"って…っ!」


輝くような金の髪が揺れる。

エメラルドグリーンの瞳は焦燥感に満ちていて。

白い肌を追った先には、微かに震えている手。

有人、さん?


「君は…、
綾(りょう)ちゃんなの?」



ごちゃごちゃに絡まっていた運命の糸が、結ばさってしまった気がした。


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