イズミの主義



ーー2年ちょっと前



『新高校1年生は式の一時間前に来てください。式の予行練習を行います』




人の多い電車、イライラする


つり革に掴まり目を閉じる




ガタッ



電車が大きく揺れてオレはしぶしぶ目を開ける



そして胸あたりに感じる違和感

人に押されて一人の女がオレの胸のなかにいる



「す、すいません」


チラッとオレを見上げてそう謝る女


とても申し訳なさそうな表情




何故か、オレはその女の顔に見いってしまった



そして気になる胸のなかの女



電車が揺れるたびにオレの胸のなかに入ってくる

そしてそのたびに頭を下げる



「もう寄っ掛かってて大丈夫ですよ?」


「大丈夫です」



優しいけど冷たい口調できっぱりそう言う女



なんだよ……






よく見ると



同じ制服



細い体



オレの肩まである身長


シャンプーの匂い



ってオレ、キモッ




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