ミルクの追憶





彼は憑りつかれたようにヴァイオリンを弾いていた。

その滑らかな曲線を慈しむように愛で、優しく労わるように撫でたかと思えば激しく震わせる。

魅入られ、魅了し、魅入られ、魅了する。

彼とヴァイオリンの相互演奏は互いの命が尽きるまで、終わることはない。





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