卒業アルバム
彼の周りには
既に沢山の人だかり
彼は男女に人気なのだ
いつもなら
もっと自然に話しかけられるのに
今日はやっぱり緊張していた
告白するつもりもないのに・・・
気持ちだけが先に走って行ってしまう
「あ、一真(カズマ)私のアルバムここに置いとくから書いてね」
結構勇気を出して
そう言ったのに、机に置いた卒アルは
『あ、悪い・・・朝倉ちょっと持ってて?』
と、あっさり返された
「え・・・」
あからさま過ぎる拒否にかなり動揺した
『俺、今他の奴の大量にあるから、朝倉の最後な』
久しぶりに
私に向けられた笑顔は
最後なのに胸がキュッとした
待っている間
私も他のこの卒アルに書き込んだり
私の卒アルに書いてもらったりして
気づけば周りの人はほとんど居なかった
『朝倉ー・・・卒アル持って来てー』
「うん」
まだ何も書いていないメッセージページを開いて渡した
こんな距離だけど
私には初めての距離