オレンジ
「彩乃、やっぱ携帯変えた方がいいよ。なんか変な細工とかされてるかも」
「細工って?」
「わかんないけど…盗聴とか、GPSで居場所わかるようにされてたりとか、そういうの」
「そんな…」
「そもそも落としたんじゃなくて、なんかの隙を見てそいつが盗んだのかもしんなくない?彩乃の携帯。最初からそういう目的で」

うん、そう!絶対そうだよ!ヤバイって!とまくし立てる陽菜。

「でも…」
「でも、なに?」
「そういうヤバイ系の感じの人には、見
えなかった…けど」

ストーカー被害に遭ったことなんてないからわからないけど、あたしの中にある
いわゆるストーカーのイメージには、彼は当てはまらない。

ストーカーって、いかにも自分に自信がなさそうというか、好きな女に対して真っ向勝負する度胸がなさそうというか、
つまり、恋愛経験が少なそうな、そういう男がなるんじゃないのかな。
あくまでも、勝手なイメージだけど。

「え、なに?もしかしてイケメンだったとか?」

突然好奇の色を含んだ陽菜の声。
陽菜は自他共に認める面食いだ。

彼の姿を頭の中で呼び起こしてみる。
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