俺と初めての恋愛をしよう

ようやく解放されたのは、夕方にお腹が空いたからであった。だるい身体を起こし、夕食を作った。後藤曰く、男としての生理を長いこと封じてきたから抑制が利かなくなったことらしい。
　セックスはスポーツだ。と聞いたことがある。初体験で良くわからなく特別激しくしたわけでもないと思うが、股関節が痛い。下半身もそうだ。そうすぐに痛みも取れるわけではないのに、求められれば応じてしまった。
　今日一日、仕事が全うできるか、不安な今日子だった。

「今日子、やっぱりもう行くのか？」
「はい、習慣ですから」
「その、抱いておいてなんだが、身体……大丈夫か？」
「はい、なんとか」

なんとかはならない。実は、膝ががくがくでヒールをはけない。今日は、フラットなパンプスを履いた今日子だ。

「俺も直ぐに出勤するから、いつもの所で待ってろ」
「はい、分かりました。じゃあ、いってきます」
「ああ」

やっとのことで、出勤した今日子だったが、仕事はだるくてまるで捗らなかった。昼休みになり、植草に報告する為に医務室へ向かう。
　どのように報告すればいいか、迷うところだが、なんとかなるだろう。
ドアをノックして開ける。

「先生こんにちは」
「林さん、こんにちは。何かいいことあった？」

　やはり植草には分かってしまうようで、今日子の変化をすぐに察知した。それほどまでに今日子は変わったのだ。
まるで、さなぎが蝶へと変化するように美しさに磨きがかかった。

「あの、報告があります」
「あら、いい報告ね？　何かしら？」
「急なんですが、あの、その結婚を申し込まれました。それでお受けしようと思っています」

　いきなりの急展開である。びっくりするだろうと、予測はしていた。
　一緒に住み始めたのに、今朝も今日子の秘密の場所で会い、べったりとくっついて離れなかった。
　今日子は、昨夜の光景を思い出しては、顔を赤くしてしまい、恥ずかしくなった。