誰も信じない
「天野さんから声かけられて、美穂はどう思った?」


「え?こうい…天野さんと話したの、どうして知っているの?」


それまで私の顔をずっと見ていた一樹が、急に顔を背けた。


「俺、見てたし。」


それで一樹は笑顔じゃないんだ。

一樹が見ていたなんて、全然気づかなかった。



一樹は顔を背けたまま、今度は私の顔を見てくれない。


「天野さんのことだから、『諦めない』とでも言ったんだろ?」


「うん…。」


私も一樹の顔を見ることができなくて、俯いたまま小さな声で認めた。

一樹は大きなため息をついた。











< 461 / 507 >

この作品をシェア

pagetop