赤い狼 伍





首をロボットのようにカクカクさせて周りを見渡す。すると、ちょうどここの組の人が廊下を通りかかったので声をかけた。



「ちょっと、いいですか!?」



「うぉっ!?ビックリしたー。ん?なんだ、稚春さんか。」



「そう!稚春です!!」



なんだか知らないけれど自己紹介しながら口をパクパクする。端から見れば首はカクカクしているし奇妙なことこの上ないだろう。しかし。今、私はそれに構っていられるほど冷静ではないのだ。




「このお店の袋は何!?」




ビシッと音が聞こえそうなくらい勢いよく、ズラリと廊下に並べられたお店の袋を指さす。


すると、




「あ、それは稚春さんに、と真理子さんが買ってきたものでして「いつ!?」」



「えーと、今日、ですけど…。あれ?今日服買いに行かなかったんですか?」




きょとん、とした顔で私の顔を見てくる男の人の言葉に目眩がした。


なんてこと…。あれほど買わなくていいって言ったのに!真理子ちゃんのだけ買えばいいって言ったのに!!


いつ買ったんだよ真理子ちゃんんんんんんん!!!





「ちょっと、真理子ちゃーんっ!?」




「あらやだ。もうバレちゃったのー?」




この日、《藤山》に私のヒステリックな声が夜中まで響き続けたのは言うまでもない。




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