赤い狼 伍

:君のこと







ジュッと熱いものが背中に押し付けられる。途端に傷みが襲ってきて歯を思いきり食い縛った。




――――どうだい?この感覚は。




誰かが私に話しかける。だけれど、いくら話しかけられても意識がもうろうとしてて何を言われてるのか分からない。




――――――肉の、焼ける臭いがする。




普段嗅ぐことのない自分の肉が焼かれる臭いが私を包み込んで追いつめてくる。



私の体にはこれまで幾度となくされてきた"戒め"の痕跡がまだ完全に治っていない状態で肩から腰までびっしりと埋まっていた。




―――――あぁ、異臭がする。




煙草をつまんでクツクツと笑う男が、ゆっくりと口を開く。




あぁ、痛い。熱くて痛くて苦しい。



逃げれるものならば、今すぐここから飛び出して裕お兄ちゃんを探しに行くのに。



そんなことを思っていた私を見透かすようにチャリ、と両足に付けられた足枷が鳴いた。




するとまた、ジュッと押し付けられた背中。



何回やられたのか分からないその行為で私の感覚と精神状態は限界に近かった。




熱い、熱い……。

ここから出して…、お願い許して。

もう逃げたりしないから。



ねぇ、お願い。

ここから、出してっ。


いい子にするから、ここからっ!!!




―――――お前は私のだろう?





「いやぁあああぁあああ!!!!」





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