わたしががんばっても。
「いいぜ。どっかいこっか。」

「うんっ」


しばらく話してから稜は帰って行った。



稜の姿が見えなくなって家に入ろうとしたとき。


「幸せそうねー♪」

稜が帰っていった逆の方向から帰ってきたのはお姉ちゃん。


「よかったね、麻琴。」

「うん。ありがとー」

そう言ってわたしより先に家に入ったお姉ちゃん。

あれ…?

なんか、お姉ちゃん…目が赤い?


「お姉ちゃん?」

「んー?」

お姉ちゃんはリビングに入って階段をのぼりはじめた。

「なんか…辛いことあった?」


お姉ちゃんの顔から笑顔が消えた。


「…アハハッ、ないない!!」

お姉ちゃんは、階段を駆け上がっていってしまった。
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