Fake Love



コンコン!


あら誰か?


「はい」


戸部さんがドアを開けて


「吉武さん」


「楓ちゃんの着替え済んだ?」


「あ、はい」


慌てて吉武さんの前に行き


「今日はありがとうございました」


「いや、こっちこそ。楓ちゃんに引き受けて貰って助かったよ。はい、アルバイト代」


封筒を渡して


「一応確認してくれる?」


「あ、はい」


封筒の中を見て


「吉武さん、これ多いです」


30000円も入っていた。


「いいから。予想もしなかったバイトをさせちゃったんだし、それに本当にいい仕事をしてくれたから弾んだ」


吉武さんがニッコリ笑い


「多いからって文句はないだろう?」


「吉武さん…はい、ありがとうございました」


「うん。じゃあ明細書に判子…あ、サインでいいから」


「はい」


カバンから判子を出して


「あれ、用意がいいね」


一応持ってきていた。


判を捺して


「はい」


「うん、ありがとう」


これでこのアルバイトが無事に終わった。


さ、もう帰っていいんだよね。


でも帰る前に


「吉武さん」


「あ、楓ちゃん、今日は別に急がないよね?要にはちゃんと送り届けるって連絡をしておいたから」


へっ?


兄貴に連絡って?


私…まだ帰れないの?




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