令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~
翌朝、起きて下へ降りたら、珍しくまだ由紀がいた。普段、俺が起き出す頃には、由紀は既に学校へ行った後なのだが……


「由紀、今日は学校じゃないのか?」

「後で行くよ。もう就職が決まってるから、あまり行く意味はないんだけどね」


ああ、そういう事か……

それにしても、今の由紀の表情が俺は気になった。ちょっと寂しそうだったから。

やはり由紀は大学へ行きたかったのではないだろうか。と言っても、今更それを言ってもどうしようもないのだが。


クソッ。おやじさんが生きててくれてたらな……



「それよりお兄ちゃん。今日は何時にどこへ行けばいいの?」

「はあ?」

「食事に連れてってくれるんでしょ? あたしの就職祝いとして」

「あっ」


しまった……
俺は、先週の内に由紀を飯に誘っていた事をすっかり忘れていた。

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