令嬢と不良 ～天然お嬢様の危険な恋～

「ねえ、すぐにでも会長さんに謝りましょうよ？ そして、栞さんと普通にお付き合いさせていただくように頼みましょう？」

「え？ そ、それは……」

「私も一緒に行くから。ね？」


おふくろさんは、とても真剣な眼差しで、俺の顔を覗き込むようにして言った。

だが、俺は素直に「うん」とは言えなかった。まず、会長に対して散々悪態をついただけに、今更謝るのはカッコ悪いというのがある。


そして栞については、俺はもう諦めている。と言うより、目的があったから彼女に近付く気になったし、実際にそれが出来たが、それがなくなったらもう無理だ。所詮俺と彼女では、住む世界が違い過ぎる。


「悠馬……？」

「会長さんには、近い内に謝りに行くよ。俺一人で。親の付き添いなんて、みっともないから」

「でも、栞さんとの事は私からもお願いしたいし、私も行った方がいいと思うの」