令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~
「あった。あそこだわ」


絵理が指差したのは、大きなガラス窓から店内がよく見える、明るい感じの喫茶店だった。


「やっぱりあたし一人で行こうか?」

「えー? そんなの今さらだよ……」

「それもそうだね。じゃあ、行こうか?」

「うん」


絵理は榊原さんが何か企んでるんじゃないかって疑い、私を気遣ってくれてると思うけど、私は榊原さんがそんな事をするとは、あまり思ってなかった。それよりも、そこで松本さんと再会出来るんじゃないかという期待の方が強かった。

ま、それも企みではあるのだけど。


絵理に続いてその喫茶店の中に入ると、探すまでもなく、こっちを向いて座る榊原さんの姿が目に入った。でも、


えっ、榊原さんだけ? 松本さんは……?

< 85 / 548 >

この作品をシェア

pagetop