令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~
「こんにちは。どうして返事をくれなかったの?」


私達が榊原さんに近づくと、絵理が最初にした質問はそれだった。もちろん、私が聞きたいのは別な事だけど。


「すみません。僕の携帯が壊れちゃったもので……」

「ああ、それじゃ仕方ないわね?」

「はい……」

「で、榊原さん、お一人だけ?」


それよ、それそれ!
私が知りたいのは正にそれ。でもなあ、聞くまでもなく榊原さんしかいないもんなあ。

と、私はがっかりしていたのだけど……


榊原さんは「いいえ」と言い、横を向いて、


「おい! 隠れてないで出て来いよ」


と叫んだ。

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