美容師男子×美麗女子
「ねぇ、キミが初めてなんだ」
「・・・・・・・え?」
「俺の目を見て、嫌いって言った」
「・・・・言ってない」
ぐい、とすごい力で向き合わされた。
あんまり力が出ない。
「・・・・あきら、」
両二の腕をつかまれたまま、ゆっくりとソファに体が倒される。
丁寧で、大切そうにあたしを扱うその仕草に、何も言えなくなった。
彰の顔があたしの肩に埋もれた。
そして、小さく弱く呟いたんだ。
「愛って、なんだろうね」
あぁごめん、くさかったでしょと彰が笑う。
まったく冗談にきこえないのが嫌だった。
優しくあたしを抱きしめる彰の力が弱くて、それでも力強くて、戸惑ってしまう。
「彰は、愛を知らないだけなんだよ。“嫌い”って言われて、本当の気持ちを知るような人になってほしくない」
「じゃあ、俺を愛してよ」
彰の大きい手の平があたしの頬を撫でる。
押し倒されてる状況なのに、あたしの思考は冷静だった。