仮からはじまる

「なんだ、そうなの」

なんだって何よ。
でも、それを聞いた女の子たちがあたしの周りから離れていく。

「御崎さん、変なこと聞いちゃってごめんね?」
「あ、うん、大丈夫よ…」

御崎さん、結城様のこと全然知らないんだってー
じゃあ全然関係ないじゃん

そんな声が聞こえてきて。
あたしは女の子たちの質問攻めから解放された…。

あたしを取り囲んでいたクラスの女の子たちの他にも、廊下で遠巻きに眺める女の子たちもいたりして、ぞろぞろと解散していく。

はあ、疲れた…。
もう、なんだっていうのよ…。
結城真一と少し一緒にいただけでこうなっちゃうの?

女子って怖いよなー
話す男子の会話が聞こえてきて。
ああ本当にそうですね、と心の中で相槌をうつ。

ああ、もう…。
これからどうしたらいいの?

ふと視線を感じて顔を上げると、平野篤がじっとこっちを見てる…。
事情を知る平野篤だけど、平野篤だってもてるんだから、結城真一と同じだわ。

なるべく気を付けなきゃ。
って、何に気を付ければいいのかわからないけど…。
< 19 / 48 >

この作品をシェア

pagetop