初恋草
―そして今、案内中。
「……んで、ここが化学室。
そこの突き当たりを右に曲がると図書室で……」
あたしは、どんどん説明をしていくうちに気が付いた。
そうだ!
あそこ、まだ教えてない。
一通り、斎藤を案内した後、ある場所に連れてきた。
「ここの扉を開けると…って、ひゃぁ!!」
あたしが、その場所の扉を開けた瞬間、一気に風が吹き込んだ。
風が強くて、髪が乱れたので、あたしは指で整えながら、斎藤の方を振り返った。