青のキセキ
揺れる気持ち
私のマンション前にタクシーが着いた時には、すでに時計の針は23時30分を指していた。


タクシーが停まり、ドアが開く。


「今日は本当にありがとうございました」
課長にお礼を言い、タクシーを降りようとした時だった。酔っているせいか、バランスを崩し、地面に倒れこんでしまった私。


「痛っ!」


慌てて立とうとしたけれど、左足首に痛み走り、すぐに立ち上げれずに地面に座ったまま。



「美空!大丈夫か!?」


そんな様子を見た課長が慌てて降りてきて、私を立ち上がらせてくれた。




「すみません。大丈夫です」


課長の手を振り払って歩こうとしたが、痛くて歩けない。痛みで顔が歪む。





「ここで降ります」


課長がタクシーの運転手さんにそう言って、お金を支払う。





「部屋まで送る。その足じゃ、1人で歩けないだろ?」


「だ、大丈夫です。すぐそこですから。じゃ、おやすみなさ...」


踵を返しマンションへ入ろうとしたが、私の意志とは反対に足は動かず、私は再び転びそうになった。



「きゃ!」



扱ける!!



ぎゅっと目を瞑って襲ってくるであろう痛みを覚悟する。














――――あれ?



痛くない。何で?



そろっと目を開けると、目の前には課長のホッとした顔があった。


そして、課長に支えられた私の身体。


「は~。セーフ......」




どうやら課長が寸でのところで支えてくれたお陰で、私は痛い思いをせずに済んだらしい。
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