青のキセキ
「部屋、何号室だ?」


「......303号室です」




課長に身体を支えられ、マンションの中へ入り、エレベーターに乗る。



2人きりの空間。



課長に体重を預けたままの私。
課長が3Fのボタンを押す間、私は胸の鼓動が課長に聞こえないように祈りながら、エレベーターが動くのを待った。


お互い言葉を交わす事も無く、ただ、エレベーターの機械の音だけが無機質に響く。



いつもならあっという間に着くのに、今日に限って3Fまでの時間がとても長く感じられた。






エレベーターが止まり、扉が開き、私は課長に支えられながら、廊下を歩く。


コツコツと2人の靴音が静かな廊下に響く。

腕を支えられ、課長の身体と密着している為、心臓の音が体内にすごく響いている。


――――ドク、ドク、ドク――――


心臓が脈打つ音。




耳の奥で木霊する。










「ここです」



部屋の前に着き鍵でドアを開け、中に入る。



「気をつけろよ」



課長の言葉に顔を上げると、帰ろうとする課長の後姿が目に入った。


がっしりとした肩幅にすらっと伸びた長い脚。


後姿にすら見惚れてしまう。







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