青のキセキ
「あ、あぁ。妻の綾だ」
課長は、隣にいた綾さんを私達に紹介してくれた。
「初めまして。主人がいつもお世話になってます。海堂綾です」
綾さんはそう挨拶をしながら、ニッコリと微笑んだ。
背が高く、スラッと伸びた長い脚。二重でパッチリとした目に透き通るような白い肌、艶やかな唇、丁寧にお手入れされた爪。
女でも思わず見惚れてしまうほどの美人。
赤茶色に染めたショートカットが良く似合ってる。
スタイル抜群で、ジーパンとTシャツなのに、すごくかっこよくて。
そして、左手の薬指に光る課長とペアのプラチナリング。
この人が....綾さん。
課長の愛する奥様…。
「すごいキレイ!課長!奥様、キレイですね。ね、美空ちゃん」
佐山さんも綾さんを見て興奮しているみたい。
「うん。そうだね。噂どおり、とってもキレイな奥様ですね」
「やだ。恥ずかしい。ねぇ、大和」
課長を『大和』と呼ぶ綾さんの声は透明感のある澄んだ声で。
照れながら、手を課長の肩に置き、課長の顔を見る綾さん。そして、そんな綾さんを見る課長。
「私、あっち、手伝ってきますね」
2人のそんな様子を目の前に、私はいたたまれず、その場を離れた。
心があまりにも痛くて。
溢れそうな涙を我慢するのに精一杯だった。