青のキセキ

【翔と久香side】

「翔ちゃん、遥菜が別の人と付き合おうとしてる」

「え?どういう意味?」


バーベキュー広場へ戻り、遥菜は他の社員たちと話している。久香が、翔の元へ駆け寄り、さっきのことを説明する。


「う~ん…」

考え込む2人。


「翔ちゃんは、あの2人どう思う?」

「想い合っているのは確かだけど、お互いの気持ちを知らないから、それぞれが自分の気持ちを抑えてる。障害があまりにもでかすぎて、どうしようもない感じだな」


顎に手をやりながら、翔が久香に言った。

「遥菜、本当に石川さんと付き合うつもりなのかな…」


「……」


考え込む翔。



「今日、バーベキュー終わったら4人で飲みに行くか」


難しい顔をして、しばらく考え込んでた翔が思いついたように久香に言った。

「4人て?」

「俺らと大和と遥菜ちゃん」

何分かりきったことを聞くのか…といった顔付きで翔が答える。

「綾さんはどうするの?」

「そんなもの知るか。放って置けばいいんだよ」


翔の言葉を聞いた久香が、目を点にする。

「翔ちゃん、本当に綾さんのこと嫌いなんだね」

普段の、優しくて温厚な翔からは考えられないような言葉に、久香が意外だという顔で翔を見た。

「これから先も、綾のことを許す時は来ないと思う」


「なぜ、そこまで嫌うの?」

「ま、いいじゃん。とりあえず、大和と遥菜ちゃんに声をかけに行こうぜ」


さっさと腰を上げ、遥菜のいる方へ歩き出す翔の後を、久香が追いかける。
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