青のキセキ
――――金曜日の夜。
『翔』で食事しながら、出張のことについて話し合う課長と私。
部長に出張のことを聞いてから、課長と打ち合わせをしたり、課長の頼まれた資料作りをしたりとバタバタと忙しい日が続いたため、仕事抜きで課長とゆっくり会えるのは久しぶりだった。
「明日、空港まで車で行くつもりだから、美空のマンションまで迎えに行くよ」
「え。でも...」
「ん?何か問題ある?」
「いいえ。わざわざ来てもらうの、申し訳ないなって」
「気にすることないよ。俺がそうしたいだけだから」
深茶色の瞳で微笑みながら、私を見つめる課長に胸がときめく。
「お~ふた~りさ~ん♪」
翔さんがカウンター越しに呼ぶので、二人して翔さんを見る。
「何々。二人で旅行でも行くの?」
翔さんが興味津々で聞いてくる。
「は?何言ってんだ。出張だよ。九州支社に」
課長が翔さんに事の成り行きを説明する。
「ふ~ん。泊りがけでねぇ...」
そう言ってニヤニヤしながら、私と課長を交互に見る翔さん。
「お前、変なこと考えてないか?」
課長が眉間に皺をよせて、翔さんに言った。
「そりゃ、考えるだろ。プププ」
「.......」
私は恥ずかしくて何も言えない。
「へ、部屋は別々だし、な、何かあるわけないだろ」
必死になって言い返す課長が可愛くて。
「海堂さん、遥菜のこと、お願いしますね」
後ろから久香が課長に言った。
その後も、翔さんに弄られながら食事を楽しんだ私たち。