青のキセキ
溢れる想い









機内では窓際の席だったから、青い空と海がよく見えた。



空が近く、海が遠い。

地上からの景色とは全然違う。



まるで、自分に翼が生えたかのように錯覚する。



広い空と海の『青』のコントラストがとても素敵だ。



「......キレイ....」



目の前の壮大な景色に、息が止まりそうになる。




「いい天気でよかったな」


気付くと、課長も窓から景色を見ようと、身を私の方へ乗り出してきていた。



「何度見ても、飛行機から見る景色に感動するんだよな」



課長の顔が近付き、二人一緒に、窓から見える真っ青な空と海を眺める。





「空と海か...。美空の『空』、海堂の『海』。こうして、飛行機から見る景色は、お前と俺の二人だけの世界って感じがするな」


そう言って課長が私の手を握る。


指を絡め合い、恋人繋ぎされた二人の手。



課長の想いが嬉しかった。



ずっと、この時間が続けばいいのに......。









でも、課長が言った通り、あっという間に飛行機は福岡空港に到着。






福岡空港で遅めの朝食を食べ、荷物もあるのでそこからタクシーで直接九州支社まで向かうことになった。



私が勤務するJPフードの本社は自社ビルだけれど、九州支社は、ビルの2フロアを貸し切っているようだった。



「ついこの間までここに居たのに、既に懐かしさを感じるよ」


二人きりのエレベーターの中。




「美空、大丈夫か?」



「え?」




「緊張してるっぽいから」




「......私なんかが会議に出ていいのかな...って今頃になって不安になって」



「バカ。何言ってんだ。お前のサポートがないと、俺が困る」


課長が私の頭を軽く叩く。



「...はい」


課長の言葉に胸がくすぐったい。




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