青のキセキ
チン!
と、音が鳴り、エレベーターの扉が開く。
課長の後に続いて、受付まで歩を進める。
「海堂主任!お久しぶりです。今日、お見えになると聞いて、楽しみにしていたんです」
とても綺麗な受付の女性が、笑顔で課長に話しかける。
「あ、申し訳ございません。課長に昇進されたんですね」
「元気そうだな。今日と明日とお世話になる。あ、本社で俺のサポートをしてくれている美空だ。よろしく頼む」
課長に紹介され、慌てて自己紹介する。
「本社企画部の美空遥菜です。よろしくお願いいたします」
「ご苦労様です」
にっこりと笑う彼女はとても綺麗で。
「美空、行くぞ」
「あ、はい」
再び、課長の後に続く。
「やっぱり、受付って綺麗な人がするんですね。綾さんもキレイですもんね。羨ましいな」
「......お前」
「え?」
「いや、何でもない。それより、支社長の所へ挨拶に行く。お前も来い」
「あ、はい」
課長は何を言おうとしたの?
一瞬気になったけれど、前を進む課長の後ろに着いていくうちに、忘れてしまった。
フロアの一番奥に位置する支社長室。
ドアの前には、秘書室があって。
やっぱり綺麗な秘書の女性がいた。
「海堂課長、お疲れ様です。支社長が中でお待ちです」
「ありがとう」
そう言って、支社長室のドアをノックする課長。
「海堂です」
「どうぞ」
中から、深みのある声が聞こえた。
「失礼します」
ドアを開け、支社長室の中に入っていく課長の後に続き、私も「失礼します」と声をかけて中に入る。
支社長は50代後半の優しそうな男性だった。
「久しぶりだね。海堂君。本社での活躍は聞いてるよ。そちらは...」
「お久しぶりです。支社長もお元気そうで安心しました。これは本社で私のサポートをしてくれている美空です。今回の会議のサポートもしてもらおうと、連れてまいりました」
「初めまして。美空遥菜と申します。微力ながら、お手伝いさせていただきます。お役に立てれば幸いです。よろしくお願いいたします」
45度におじぎをし、支社長に挨拶する。
「高田です。せっかくの休日なのに、九州支社のために、わざわざ来てもらって申し訳ない」
簡単な挨拶を済ませた後、課長と一緒に支社長室を出て、会議室に向かった。