青のキセキ



「ごめんな」


何故課長が謝るの?


「何が..ですか?」


「さっき、女将が....」


沈痛な面持ちで課長が言う。



「別に気にしてません。どうして謝るんですか。課長には綾さんがいるっていうことは、最初から分かってることじゃないですか。それでもいいって言ったのは私なんですから、謝らないでください」





そう。最初から分かってること。



課長が結婚していること。


綾さんという奥さんがいること。



課長との関係を続ける以上、避けては通れないこと。



課長が好きだから。


これから自分がどれだけ傷付こうとも、課長のことを想うことだけはやめられない。




「私の方こそ、すみません」


「何でお前が謝る?」


「私が課長を好きになったから、課長にも辛い思いをさせてしまって。申し訳ない気持ちでいっぱいで...。課長にも、そして...綾さんにも」


「美空。俺と一緒に地獄に落ちてくれるか?」


「はい。もちろんです。どこまででも一緒に行きます」


課長の目を見つめながら返事すると、課長が嬉しそうに笑った。





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