青のキセキ
ホテルを出た俺は、タクシーで病院へ急いだ。
手術室の前で一人椅子に座って、顔を手で覆いながら泣いていた綾は、俺の顔を見るなり抱きついてきた。
「...大和!!」
肩を震わせ、涙を流す綾。
「大丈夫か?お義父さんとお義母さんは?」
綾の肩に手を置き、状況を確認する。
「二人...とも....危ない...らしいの」
「何で事故なんて...」
「トラックが...センターラインをはみ出して...父の運転する車に正面から衝突したって、警察の人が...」
少しずつ落ち着きを取り戻した綾が、事故の詳細を教えてくれた。
いつもは勝気な綾が、とても小さく見えた。
でも。
頭に浮かぶのは、一人残してきた美空のこと。
あの広いベッドに一人で寝かせることになってしまった、愛しい女のこと。
美空...。今、何してる...?
一人で泣いているのだろうか。
一人で傷付いてるのだろうか。
一人で震えているのだろうか。