青のキセキ

俺の両親も到着し、話をしている時。


マナーモードにしていた携帯が震える。



ポケットから取り出して確認すると、携帯に表示された美空の名。

ドクンと、心臓が脈打つ。






部長と一緒にお通夜に出席?



美空が...?



どう...して....。




とりあえず、『わかった』と一言返信する。


他に、返す言葉が見つからなかった。


来るなとも言えないし、待ってるなんて言えるはずもない。


俺と綾が一緒に居るのを見て、彼女が何を思うのか...。


そう考えただけで、胸が痛む。



美空が来ると知ってから何もかもが上の空で、
久しぶりに会った両親のことすら相手に出来ない状態。


美空が傷付くと考えただけで、こんなにも余裕がなくなるものか…。


今まで、こんなことは無かったのに。


以前の俺は、他人なんてお構いなしだった筈だ。少々、誰がが傷付こうとも、自分の利益を考え、己のやりたいようにやってきた。

なのに。

今は、美空を傷付けることがたまらなく怖い。


怖くて、手が震える。







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