青のキセキ

【大和side】

目の前で、美空が倒れた。



一瞬、何が起きたのか分からなかった。


ゆっくりと倒れてゆく美空を見ながら、俺は身動き一つできなかった。





床の上で動かなくなった美空が視界に入り、急いで駆け寄って抱き起す。



「美空!おい!大丈夫か!?」


身体を揺さぶっても反応がない。



「美空!美空!」


頬を叩きながら名前を呼ぶが、彼女の目は閉じたままだった。





息をしていることは分かるものの、このまま、ここにいるわけにもいかない。


どこか、寝かせる部屋は...。



確か、控室の横に和室があった。そこに布団もあったはず。


そう思い、美空を抱き上げようとした時。





「ちょっと、トイレ...」

と、石川が近くを通りかかった。



「美空ちゃん!?どうしたんですか!?」



俺の腕の中にいる美空を見て、石川が血相を変える。


美空が倒れたことを説明し、一緒に和室に向かった。


幸いなことに、和室に着くまで他の人に会わずに済んだ。


和室に入り、急いで石川が敷いてくれた布団に、美空を寝かせる。




念のため、葬儀会社の人と綾には言っておいた方がいいと思い、石川にその旨を伝え、美空を見ていてもらうように頼む。


「俺、トイレ行きたいから、ついでに話しておきますよ。美空ちゃんを一人にするわけにいかないし、課長はこのまま美空ちゃんを看ててください」


石川はそう言うと、部屋を出て行った。








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