青のキセキ
「遥菜ちゃんを見る大和の目...。あんな優しい目をしているアイツ、俺、初めて見るよ」


「...私を見る目?」



「うん。俺の知る限り、大和が自分から好きになった女は遥菜ちゃんが初めてだよ。あの容姿だし、文武両道だから、高校の時から女に不自由してなかったらしいけど...。大学の時もすごかったんだ、実際。綾と付き合うまで特定の彼女を作らなかったけど、めちゃくちゃモテてた。そんな大和を骨抜きにするなんて、遥菜ちゃん、すごいわ」



「すごいって言われても...私、何もしてないんですけど...」


「俺と遥菜ちゃんの仲だから、一つだけ忠告。あいつの性欲は半端じゃないから、それだけは気を付けて」


片目を閉じて、とんでもないことを言う翔さん。



思わず赤面する私。



......。そのことについては、身を以て知っているというか...。








「こら!!!翔ちゃん!遥菜に変なこと言わないの!!!」


洗い物を済ませ、奥から出てきた久香が、拳骨で翔さんの頭をポカンと一発。


「いてっ!だって、いくら相性がよくても遥菜ちゃんの身体がもたない...」


続けてもう一発。






「...久香...痛いって」


叩かれた頭を抱えて、翔さんがうずくまる。




目の前で繰り広げられるコントのような二人のやり取りが微笑ましい。





「でも、大事なことだろ?夫婦でさえ、セックスの頻度が多い少ないで離婚問題に発展するんだぞ」


「そりゃそうだけど...」


「だからさ、俺達ももう少し回数を...」


ゴツン!!!


今度はさっきまでと比べ物にならない音がした。



「っってぇ~!!!」



「何でそうなんのよ!」


久香が真っ赤な顔して怒ってる。







プププ。思わず吹き出してしまった私。



「二人を見てると、なんだかホッとする」


素直な気持ち。色々と言い合える二人が羨ましい。






「ま、とにかく二人が上手くいくように応援してるよ」


頭を撫でながら、翔さんが言うと、


「もちろん、私もだよ。私はいつでも遥菜の味方だからね」


と、言ってくれた久香。







ありがとう。二人の存在が本当に心強くて、応援してくれることが、こんなにも嬉しい。














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