青のキセキ
シーツに身を纏った、遥菜の華奢な体。
首筋には、いくつもの赤い痣。
悔しくて、奥歯を噛み締める。
「遥菜、とりあえず帰ろう。服、翔ちゃんに持って来てもらうわね」
遥菜の服はボロボロで、とてもじゃないけれど着て帰ることなんてできないから。
私は遥菜が泣き止んだ頃を見計らって、翔ちゃんに電話をかけた。
「遥菜ちゃん、大丈夫か?」
1コールも鳴らないうちに、電話に出た翔ちゃん。
「......翔ちゃん、何でもいいから私の服を一式と、それと...新しい下着を持ってきて。タンスに入ってるから」
「は?服と下着?何で...」
「事情は後で話すから...とりあえず急いで持ってきて」
ホテルの名前と部屋番号を伝えて電話を切った私は、遥菜の側に寄り添った。
「久香...ごめんね...」
今にも消え入りそうな声で遥菜が言った。
「迷惑かけて...本...当に...ごめ...」
泣きながら謝る遥菜の肩を抱き締める。
「何言ってんのよ。謝る必要なんてないよ」
遥菜の肩が、ずっと震えていて。
それから翔ちゃんが来るまで、私たちは一言も話すことなく、ただ寄り添って座っていた。