青のキセキ
狭い部屋の中、テーブルを挟んで向かい合わせに座る課長と私。
顔の傷を見ても驚かない課長を不思議に思いながらも、一言も発せなくて。
静まり返る部屋で、無言のままの二人。
二人の間にあるテーブルの上では、2つのティーカップから湯気が上がっている。
「...大丈夫なのか?」
少しの間をおいて、課長が言った。
「...心配かけて....すみません」
あんなに会いたかったのに、いざ課長を前にすると顔を見ることができなくて。
課長の目を見られなくて、俯いたままの私。
課長に会う資格なんてないのに、『会いたい』なんて言って。
もう課長に愛される資格のない私は、何をしようとしているのか。
「傷...まだ痛むのか?」
課長がそう言って、私の頬に触れた。
ーーーービクッ
課長の温もりを感じると同時に、何故か分かってしまったんだ。
課長は......
知ってるんだ.....と。