青のキセキ



「帰りの飛行機は何時だ?」


「何時だったかな...お昼過ぎに空港へ着けば大丈夫だったはず...」


課長に聞かれて、答える私。


「なら、それまでの時間、どこか行きたい所はないか?」



「私が行きたい場所は昨日行ったから...。課長はどこか行きたい所はないですか?」




「うーん、そうだな...お前さえ嫌じゃなければ、もう一度あの景色を見たい」


嬉しい...。課長の言葉に心が...胸が震えた。

だって、見たいと思っていたから。



昨日見た、あの素晴らしい景色を...私ももう一度。




食事を済ませ、ホテルを出た私達はタクシーで
昨日の展望台へと向かった。




昨日と同様、スッキリと晴れ渡る空。雲一つないスカイブルーが一面に広がっていた。




タクシーを降り、展望台まで歩く。








再び目の前に広がる、心が震えるような景色。



昨日、何時間も見たのに。まだこんなにも感動するなんて。



二人とも一言も発せず、ただじっと一つに溶け合う『青い色』を見ていた。














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