青のキセキ


空港へ向かう途中、まだ時間があるということでお土産屋さんへ行った。


通りに立ち並ぶお土産屋さんを順番に覗いていると、とあるお店でとても素敵な指輪を見つけた。


青い石とパヴェダイヤが散りばめられたエタニティリング。


ダイヤの耀きはもちろん素敵だけれど、それ以上に私が魅了されたのは、空と海が一つに溶け合った、まるであの景色のような『blue』の宝石。


ショーケースに入ったその指輪に惹き付けられたように、その場から動けなくて。



どうやら、その石は『パライバルトマリン』という宝石らしい。



店長さん曰く、一目見て気に入って仕入れたとのこと。



「この石を見た時、島の空と海を思い出して仕入れたんです。ここまで青いものは本当に珍しいそうです。かなりの希少価値があるとのことですが、高価なのでなかなか売れなくて...」


と、店長さんは笑っていた。



金額をみると、確かに『お土産』という値段ではなく、それこそエンゲージリング?と思わせるような値段。エンゲージにしても高すぎるかも...。



「すみません。これ、お願いします」


値札のゼロの数を数えていた私を横に、課長が店員さんに声を掛けた。



「...え?...あの...」


ビックリして課長の方を見ると、優しい笑顔で私を見て。


「俺からのプレゼントだよ」




「え?...こんな高価なもの...無理です...絶対無理...」



動揺して自分でも何を言ってるのか分からない。


素直に『ありがとう』と言える金額じゃない。それに...。




「もうプレゼントはもらいましたから...。だから...受け取れません」



「相変わらずだな。だけど...たまには何か『物』をプレゼントさせてくれ」


頑なに断る私に、課長が切ない表情を浮かべて言う。


「でも...」


「さ、はめてみて」



困っているわたしを余所に、課長は私の手を取り、キラキラ光る指輪をはめた。







左手の...薬指に......。










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