青のキセキ
約束【翔と久香side】



午前2時。


静まり返る夜更け。



不安感、罪悪感に苛まれ、飲み潰れて寝てしまった大和。






「遥菜...どこにいるんだろ...早く探さなきゃいけないのに...どうすればいいの?...本気で自殺なんて考えてたらどうしよう...」

久香が両手で顔を覆いながら言った。




「まだそうと決まったわけじゃない。家具も処分して何も言わずにいなくなったのは確かだけど、全てを捨てて新しい生活を始めようとしているのかもしれないし、それに...俺と大和の関係を考えたら、遥菜ちゃんが何も言わなかったのもわからなくはないだろ?」



「...分かってる。私が遥菜の立場だったとしても、何も言えないと思う。だけど...遥菜は妊娠してるんだよ?なのに、このままじっとなんてしていられないよ...。海堂さんに赤ちゃんのことを言わなくていいのかな...?」



「言うな。絶対に大和には知られちゃダメだ。もし遥菜ちゃんが妊娠してることを知ったら、こいつは更に苦しむ。そんなこと遥菜ちゃんは望んでないだろ?」



「...でも...」



「それに、あの時遥菜ちゃんが言ったんだよ...」







『何があっても私が妊娠してることは課長には言わないで』




何があっても......遥菜ちゃんはそう言った。





だから、言えない。言っちゃ駄目なんだ。




遥菜ちゃんとの約束だから。













< 637 / 724 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop