青のキセキ



青空の広がる、ある日。



「遥菜ちゃん、今日、晶のお迎えお願いしてもいい?」

葵さんが両手をすり合わせて申し訳なそうに言った。



「はい。もちろん。碧のお迎えの時に、一緒に連れて帰ってきますね」


「助かるわ~。夕方に新しい取引先の人が来るらしくて...私も同席して欲しいと言われて...。ごめんね...」


なんでも、こっちのホテルとあっちのホテルで仕入れていた食材の会社で偽装問題が発生したとかで新しい取引先を探していたところ、いい会社が見つかったとのこと。


薫さん曰く、かなり大手の会社らしくて、取引が上手くいけば食材だけでなく、お酒や雑貨等もその会社から仕入れたいそうだ。














――――夕方。



「じゃ、私は子供たちを迎えに行ってきますね」


仕事を終えた私は着替えを済ませ、薫さんと葵さんに声を掛けてホテルを出た。




潮風が心地よい季節。










今まで色々あった。


辛いこと、悲しいこと、そして幸せな時間。





過去があるから今がある。





周りを見渡せば、青い海と青い空が広がっていて。



穏やかな時間が流れてゆく。










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