青のキセキ


「美空が元気そうで安心したよ。体に気を付けてな...」



「はい。課長もお元気で」



笑顔で見つめ合う私達。その数秒間がとても長い時間に感じられた。











課長の車がクラクションを一つ鳴らして走り去る。


段々と小さくなる車を見送りながら、私は課長が遠ざかってゆくのを瞬きもせずに見ていた。




オレンジに染まった空は少しずつ紫がかった暗闇へと変わろうとしていて、風が冷たさを増してゆく。





あなたは綾さんと和奏ちゃんの元へと帰ってゆく。

これでいい。そう、これでいいんだ。



あなたは私が結婚したのだと思ったでしょうね。でも、それでいいの。そう思うように、私が仕向けたのだから。



それで、あなたが楽になれるのなら、それでいい。





また出会ってしまった私達だけれど、何かが変わるわけでもなく。今までどおりの生活がこれからも続くだけ。


そう、何も変わらない。



再び出会い、再び別れただけのこと......。


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