青のキセキ


「散歩でもするか...」

首の凝りを解すように左右に頭を軽く振り、誰に言うともなく言葉にする。


このままじっとしてるのも気持ちが重くて、俺は何となく歩き始めた。

行き先など分からない。ただ、この場でじっとしていられなかった。




透き通る海を眺めながら、ぶらぶらと宛のない散歩。

小さな店が建ち並ぶ通り。

公園。


人通りは然程多くなく、落ち着いた雰囲気に囲まれた長閑な町。




海岸沿いの通りから少し中に入ってみると、そこは車の通りも無く、とても静かだった。


所々に新築の家が見られるが、殆どが昔懐かしい建物が建ち並ぶ。


若い世代よりも圧倒的に俺らの親世代の人たちが多く、こんなに居心地のよい場所なのに、やはり過疎化の問題は深刻なのだろうと思われた。


一昔前のような町並みに前回同様温かみを感じると同時に、寂しさを感じずにはいられなかった。




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