魔王と魔女と男子高生と
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それは白銀に煌めく
石造りの建物の
残骸だった。

少し高い位置からも
わかるその都市の
入り口には、

ふたりが通う高校の
高さ位はありそうな
門がそびえていた。

門の石造りの扉には
美しいふたりの女性の
レリーフが繊細な
作風で刻まれていた。


あまりに見事な
装飾に思わず息を飲む。

ひとりはストレスの
髪の妖艶な雰囲気の女性。
もうひとりはウェーブ
がかった髪の美少女
なのだが、

ウェーブの女性の
顔立ちには見覚えが
あった。

「おい、空砂あの門の
レリーフ見えるか?」

「見えるよ?僕の視力は
3.5だからね!!
それがどうしたのさ」

空砂は不思議そうに
陸琉を見返した。

「3.5って良すぎだろ!!
じゃなくて、あの
ウェーブの方の女、
お前に似てないか?」

その美少女の
容貌はまさしく空砂に
瓜二つだった。

しかし、

「何いってるのさ、
僕はもっとマッチョだし
凛々しいよ!!
ほら、彼処の像みたいに」
と言って明らかに似ても
似つかない筋骨隆々の
戦士の像を指差した。

「ねぇよ……てかさ、
どこをどう間違えたら
あんなマッチョな
イメージになるんだ!!」
「僕超マッチョだよ!!」
と透き通るように白く
華奢な腕を陸琉に
見せつけて力こぶを
作るようなポーズを
するが筋肉はほぼない。

これが足なら多少あるが
それでも通常の
高校生男子としては
華奢である。

「もう、いい……」

深いため息が出てしまう。
空砂らしいが砂漠で
この状況で今の
ツッコミは疲れた。

「なんだよ!!
まぁ、いいや。
とりあえず僕らは
滅びし煌めきの都、
クロノクロアに着いた
訳だけど……」

「……クロノクロアって
なんだよ」

「この都市の名前
(仮)だよ?」

最早陸琉からは
深いため息しか出ない。

こいつはこの期に
及んでアホなことをと
流石にどつきそうに
なった。

「まさか今の世に
クロノクロアの名を
呼ぶ若者がおるとはな」

突然、背後から声を
掛けられてふたりは
跳ね上がった。

そこにはいかにも
砂漠の民風な身なりの
老人が立っていた。

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