【短編】『夢幻華番外編』恋人の時間(とき)
俺のそんな気持ちを知ってか知らずか何か言いたそうに俺を見ている杏。

一体なんだって言うんだろう。

「杏、俺に何か言いたいことあるんだろう?どうしたんだ。」

俺の問いにピクッと反応して躊躇いがちに俺の傍に寄ってくる杏。

その手を引き寄せ膝に座らせると杏も俺の首に腕を巻きつけて身体を寄せてくる。

こんな事は自然に出来るのにどうしてこの先に進めないんだろうなぁ。

「どうした?」

「う…ん。ねぇ暁はあたしのこと…恋人として好き?」

「は…?何言ってるんだよ。
当たり前じゃないか。…って言うか俺が聞きたいことだぜ、それって。
杏は俺のこと従兄としてじゃなくて本当に恋人として好きでいてくれてるのか?」

杏の質問に思わずあんぐりと口をあけてしまった俺は、ここぞとばかりに思っていたことを聞き返してみた。

ここで、杏に単なる従兄だ何ていわれたら

俺、死ぬな。


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