雨がもっと好きになる歌
始まりの歌

「夏」と言えば普通はみんな何を思い浮かべるのだろう。
暑さ、入道雲、かき氷、花火、お祭り、海・・・


私にとってそれは、
林道の木漏れ日の中、雨上がりで土のにおいと木のにおいと風のにおいに
目をつぶって浸ったあの記憶につながる。

両側を見上げれば、高く高くまで背を伸ばした太い木々。
木々の根元を緑や黄緑のコケが飾り、時々名前も知らない白や薄茶のキノコがひょろっとのびている。

光の筋となって所々に降り注ぐ強い夏の日差し

アスファルトの坂道をゆっくりと歩く私の後ろには少し距離を置いて彼が歩いてくる。
小さなリュックに必要最低限の持ち物で身軽な私に比べ、彼は一眼レフや数種のデジカメ、数種のレンズを首から下げたり肩に掛けたり、絶対重いはずなのに安定した足取りで軽々歩いている。

遠すぎず、近すぎず・・・
どこまで行ってもこの距離は変わらず、
だからといってお互い全くの孤立ではない。
2人だけの空間で、同じように周りに自分を溶け込ませ、お互いの心を通わせている。他の誰も間に入ることのない、一体感がそこにはある。

それがあなたとの距離。
それがあなたと私の関係。
< 1 / 1 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop