画家のゆび



「鉛筆が折れたのでは仕事はできんな老人」



嘲笑って上ずった声で、かがんだ老人を見下ろしている。




「正直に言え。
お前がこの男から食い物を横取りしようとして殺してしまったのではあるまいか」



「…………」



「老体よ」



「筆がなくても絵は描けるや」




老人は濃い口髭の中から笑った口を見せて言った。



二人組は目を張った。




「頭の中はつねに白いキャンパス、だから筆がなくたって絵は描けるし仕事もできる」




だから早く立ち去ってくれ。



老人は悲しげな眼でそれでも足掻くように無理な笑顔をしていた。



その表情が彼らの背中を逆なでして、二人組はわなわなと身体を震わせて憤慨を爆発させた。




「ふざけるな、この人殺しめ!」




一人が銃を構えた。











ああ、やめてくれ!!!!




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