涙から生まれたるぅ
5月2日
お腹にベイビーができた!
クリスのベイビー。
すごく嬉しい。
この子は絶対に産んで育てたいなぁ。
クリスに電話をしてみよう。
あっ、でもやっぱり会いに行こう。
5月3日
 会わなければ良かった。
あんなこと聞きたくなかったよ。
まさか彼が結婚していたなんて……。
ごめんね私のベイビー。パパがいないのに産んじゃうからね。
でもいっぱい大事にするから許してね。

クリスと最後に会って話したあの時、
「ねぇ、ベイビーができたの」
「それで?
本当にボクの子?」
「クリスのベイビーに、決まっているでしょう!」
「隠していた訳ではないけど、ボクにはステイツに、ワイフも二人のキッズもいるんだ」
「それが何か?」
「だから、ボクはキミをケアできないし、ベイビーも欲しくないよ」
「私がいつあなたにケアしてなんて言った?そんなこと言っていない。当てになんてしていないのに……」
「でも……」
「あなたお金送れる?
無理でしょ?」
「後からステイツの国籍を欲しいって言われても困る」
「そんなこと言ってないでしょ?
当てになんてしていないから……」
「それなら、なぜボクにそんな話をするの?ボクと一緒の時間を過せて楽しかったでしょう?
それだけじゃあ、不満なの?」
「違うの、クリス!
私のお腹には命がいるの。私一人で産むから平気。さようならだね……」
「愛していたけど、今はもうあなたなんて大嫌い」(I Loved You , But I Hate You Now)
それだけ吐き捨て、私は立ち上がり愛した人に背中を向けた。それが精一杯の私のプライドだったの。
本当は、泣き出しそうな気持だったけど、悔しいから一人で立派に育てるんだ。それだけを考えて振り向かなかった。

結局あれが最後の言葉だったけど、後悔なんてしていない……。
バイバイ、クリス。
この新しい命ありがとう……。

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