秘密の時間
ふと声のした方へ顔を上げると、苛立ちを隠せない部長がそこにはいた。
「大橋…」
小山課長は部長の姿をみるとふと安堵のため息を吐いた。
そして、私の肩をぽんぽんと軽く叩いて去って行く。
そして、部長とすれちがいざま、コソコソと耳打ちして私達から遠退いていった。
「…美優」
その声は私をいつも優しく包み込んでくれるのに、今日は違う。
なのに、私に近付いてきた彼はいつもみたいに私を優しく抱き留める。
「…美優」
その切ない声を聞くと、やっぱり溢れだしてくるのは部長を思う私の気持ちで、でも私は上手くそれを部長に伝えられない。
それはいつも。
部長の腕の中、このままじゃあいけないと思うのに、結局思うだけで何も行動を起こせない私。
部長はそんな私の気持ちも知らずに、そっといつものように髪を梳いた。
「美優、なんで連絡くれないの?
ずっと美優からの連絡待ってたのに。
美優、もしかして、俺の事嫌いになった?」