秘密の時間



ゆっくりと拘束が解かれ、私の身体は自由になる。



その離れていく温もりに名残惜しさを感じながら、私は彼に手を引かれリビングに戻ってきた。



私をソファーに座らすと、巧さんはキッチンへ向かいラップのかかった冷めてしまったお料理を電子レンジで温める。



そんな背中を見詰めながら、私もソファーから立ち上がり彼の隣に並んだ。



「美優、大丈夫?」



巧さんは私を見下ろし、ちょっと心配そうに尋ねる。



「大丈夫です。手伝います。巧さんも疲れてるから……」


「…………」



お料理が温まると、ふんわりと美味しそうな匂いが辺りに漂う。



ちらりと隣に立つ巧さんを見上げると、なぜか彼も私を見ていた。


「……美優、お前って奴は」



そい言ったかと思うと、いきなり私の頭をくしゃくしゃと掻き回す。



そして、再びギュッと抱きしめられる。



「美優、そう言うの反則」



抱きしめたと思ったら、急に耳元でそう囁かれた。




反則って……?



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