好きなんて、君を想うほど

音のする方へ走った。
ちょうど、3階南校舎の一番奥。



彼はいた。



ギター、ベース、ドラム、ボーカル...
バンドの知識なんてまるでない私は、何がどうなのかわからない。

けれど、異様な形で混ざった金色のサックス。


「1年生のバンド、シャインでしたっ~!
ちなみにサックスの彼は今回特別出演です!」


ギターの彼が、まぶしそうに声をあげた。
そしてソウちゃんも、嬉しそうに頭を下げた。


「え?アンコール?じゃ、やっちゃおうかな!」


どっと笑いが起きる。
ソウちゃんも笑う。

笑っていたのに、ソウちゃんを含めた5人のメンバーは、一回目を合わせたあと静かに息を吐いて、そして息を吸った。


そして再び流れ出したメロディーに、私はそこに立ち尽くした。

ふと、目を閉じる。


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