好きなんて、君を想うほど



ピンポーン



高らかに鳴ったインターホンの音にビクリとしながら、

まだ完全にセットされていない前髪を抑えて「ちょっと、中入って待ってて!」


そんなふうに叫びながら、目の前の鏡に神経を集中する。



「今日くらい、早起きしろよ」



彼がついた深いため息。
でも、鏡越しに見えた表情はどことなく嬉しそうだ。



「早起きしたよ!でも、準備がっ・・」


「ハイハイ、わかったわかった」



だって、だって、だって。



早川シオ、人生初デートです。





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