好きなんて、君を想うほど


「ったく、なんでこーゆー日くらい早く起きねーの」



あろうことか、デートの相手であるリョウスケを、1時間も待たせてしまった。

私が支度している間、リョウスケは不服そうにしながらソファに座って待っていた。



「ゴメン、楽しみなことがあると、夜寝れなくて・・・」


「・・・・」



リョウスケは、プイッと私から目をそらして、何も言わずに手をつかんだ。



「・・・リョウスケ?」


「とりあえず、行く」


そう言いながら手を引いて歩く横顔が、さっきよりも嬉しそうに見えて私は首をかしげた。

待たせたのに、怒ってないの?

私が不思議そうにしているのを見てリョウスケも不思議に思ったのか、



「・・・楽しみにしててくれたんなら、寝坊くらい許すよ?俺」



・・・なんて。
恥ずかしくて、うつむくしかないじゃないか、馬鹿。



そしてそのまま、二人とも無言で歩き出したんだ。




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